充電に伴うAC電源の電圧降下についての検証

日本のコンセントの電圧は、通常100Vとなっております。100Vと言っても100Vピッタリでは無く、105Vなど若干上の電圧だったり、100Vを下回っている場合もあります。その電源の環境下で電圧が異なっています。

電圧降下に伴う影響

高電圧化しているバッテリー環境。昔は12Vバッテリーをゆっくり充電すれば良かったのが、今は24V、36Vなど高電圧バッテリーを早く充電する事が多くなりました。高電圧のバッテリーを早く充電するという事は、「高電力が必要」という事になります。高電力が必要という事は、AC電源の電圧が降下する事になります。それではどれぐらい降下するのでしょうか?

3台のリチウムバッテリーを充電比較!!

通常のリチウムバッテリ用の充電器3台を使用し、それぞれ3台のリチウムバッテリー充電します。AC電源の電圧が、充電前:104.5V→97.8V 約7V弱の電圧降下が確認されました。

より電圧降下する使用環境とは!?

そこで、より抵抗値を増やすため、30mのリールコードを使用しました。電気抵抗は、配線の長さが2倍となれば、抵抗も2倍となります。皆様もリールコードを使用されたことはあるのではないでしょうか?リールコードを使用して、上記のように3台のリチウムバッテリーを専用の充電器で充電します。AC電源電圧 充電前:104.4V→充電後:93.0V 約11.5V程電圧を降下させます。

電圧降下した電源での機器の充電の影響について!!

電圧降下した環境下で充電を行っていると、電圧不足により、使用している機器の動作が正しく動かなかったり、使用している機器にダメージを与え、壊してしまいます。また、電流値が高くなりますので、電気代金が高くなってしまいます。

省電力「MULTI CHARGER マルチチャージャー」を使用した充電検証

前述の検証から、充電器をリチウム専用充電器から、マルチチャージャーに変更して、同じようにリチウムバッテリー3台を充電し検証してみました。

通常リチウム充電器3台マルチチャージャー
3台のリチウムバッテリーを充電104.5V→97.8V 6.7V降下105.2V→101.1V 4.1V降下
リールコード使用3台リチウムバッテリー充電104.4V→93.0V 11.4V降下104.7V→97.0V 7.7V降下
AC電源電圧降下検証

検証から分かる事!!

高出力のリチウム充電器(3台)は、約7.0V弱の電圧降下となります。マルチチャージャー使用した場合は、大幅な電圧降下を実現します。それが抵抗値が増えるリールコードを使用した時は、それがより如実に確認できます。この事から、今の充電環境下はどうなのか?確認する事が大事と考えます。より、確実・安全に充電環境下をマルチチャージャーは確約します。

バッテリー充電検証 LiFePO4(リフェ)36V

いろいろバッテリーを充電できるEVOTEC MULTI CHARGER。36VはEVOTECのNMCリチウムとLiFePO4(リフェ)のバッテリーが充電可能です。しかし、この異なるマテリアルを使用しているバッテリーは、最大充電電圧が異なります。NMC(EVOTEC)の最大電圧が、42.0V、LiFePO4(リフェ)が、43.8Vとなります。(この場合の36Vは、NMCが10直列、LiFePO4が12直列を指します。)弊社のMULTI CHARGERは、NMCの最大電圧42.0Vに合わせています。ここで、一つ疑問が発生します。最大電圧が1.8V高いLiFePO4(リフェ)36Vを42.0Vの電圧で満充電できるのか!?という疑問です。

LiFePO4(リフェ)の充電電圧と充電容量の特性がカギ!!

この疑問の答えから言いますと、満充電が可能です。何故かと言いますと、LIFePO4(リフェ)の充電電圧と容量の特性が関係します。

LiFePO4(リフェ)36Vは、充電電圧が39.0V付近までは、殆ど充電されていませんが、40Vから42Vのこの2Vの電圧範囲で、大半の充電を行います。その後も殆ど充電容量は上がらず、43.8Vの最大電圧まで終了します。

EVOTEC MULTI CHARGERの充電アルゴリズムが、満充電に貢献!!

41.5Vから42.0V電流値を小さくしながら、バランスよく流し込む方式です。これにより、LiFePO4(リフェ)の36Vバッテリーも満充電が可能となります。

LiFePO4(リフェ)専用充電器で終了後の放電テストとEVOTEC MULTI CHARGERでの充電終了後の放電テスト比較結果!!

LiFePO4の充電器で充電終了後、放電テストした結果です。43.7579Vまで充電終了後に、放電テストした結果が、61.341Ahとなりました。

EVOTEC MULTI CHARGERで42.0Vで充電終了し、41.7853Vから放電を開始しました。放電容量は61.348Ahでした。LiFePO4(リフェ)充電器よりも、若干ながら多く放電できました。この結果から、EVOTEC MULTI CHARGERでLiFePO4(リフェ)バッテリーを満充電できることが分かると思います。

鉛バッテリーの充電電圧の疑問!?

鉛ディープサイクルバッテリーを充電しようとする時、充電電圧がどれぐらいか気にされていますか?そのほとんどの鉛バッテリー用充電器(12V用)は15Vを超えて、16Vに近い電圧で充電されるものが多いようです。

その電圧は高くないのでしょうか?これほど充電電圧が高くないと、鉛バッテリーは満充電されないのでしょうか?検証してみました。

検証内容は、新品のボイジャーM27MFを鉛バッテリー専用充電器で充電(最大電圧15.9V)し、容量測定器で40Aの放電電流値で、10.8Vまで放電させ、容量と電力を調べるテストです。

結果は、容量54.709Ah、電力は628.023Ahという結果でした。

次は弊社MULTI CHARGERで充電、放電テストへ

弊社開発中のマルチチャージャー。鉛のバッテリーも充電できるラインを設けていますが、最大電圧は、14.6Vとなります。この電圧だと鉛バッテリーは満充電できないのでしょうか?

弊社マルチチャージャーの12Vライン(EVO12Vラインは除く)の充電アルゴリズムです。CCCV方式で(定電流定電圧充電)13.9Vまで10Aで充電し、それ以降は電流値が下がり、定電圧で調整していく方式です。

検証方法は、前述した鉛用充電器の検証と一緒で、マルチチャージャーで充電が終了したバッテリーを、容量測定器で40Aの放電電流値で10.8Vまで放電させ、容量と電力を調べるテストです。

結果は容量55.348Ah、電力は645.472Whという結果になりました。

鉛バッテリー充電器とマルチチャージャーで満充電したバッテリーの放電テストの結果をまとめました。

充電器最大電圧容量電力
鉛バッテリー充電器15.9V54.709Ah628.023Wh
EVOTECマルチチャージャー14.6V55.348Ah645.472Wh
充電器容量テスト(10.8Vまで40A放電)

放電テストの結果から言える事!!

このテスト結果から言える事は、比較的新しいバッテリーには、15V超える高い電圧の充電は必要ないという事です。ほぼ同じ容量と電力を計測したテストですが、最大電圧の低いEVOTECマルチチャージャーの方が若干上回る結果が、それを証明しています。

Charge stages of a lead acid battery [1]
Source: Cadex

上記表は、推奨される鉛バッテリーの充電方法と電圧の関係です。ここでは、1ブロック2.30V~2.45Vの値を推奨しています。これは、6ブロックの鉛12Vバッテリーの場合、13.8V~14.7Vの値です。

15V超える充電は必要なのか!?

鉛バッテリーは、1ブロック2Vが6個直列になり、12Vバッテリーを構成しています。15V超える充電電圧は、過充電と言って良いと考えます。バッテリーメーカーが公表しているアブソープ充電電圧の最大値も、2.45V/1ブロックで14.7Vという事になります。サルフェーションが進み、劣化したバッテリーの各ブロック均一化を図るために、高電圧充電(16Vほど)を行うケースがあるようですが、過充電での性能復帰はあまり期待できず、このような状態になる事を防ぐ方が、適切と考えます。

鉛バッテリーを長く使用するには!!!それに貢献できるEVOTECマルチチャージャー

鉛バッテリーを長く使用するには、適切な充電電流値で、適切な電圧で充電する事。大きな電流値で充放電を行わない事などが挙げられます。EVOTECマルチチャージャーは、10Aの電流値で、バッテリーに最大の充電効率をもたらす3段階充電方式を備えた充電器です。(上記アルゴリズム参照)鉛バッテリーの長寿命にも貢献します。

新充電器開発中!!

現在充電器を開発中。この充電器のコンセプトは、防水と省電力、加えてリチウムバッテリー以外のバッテリー(鉛・AGM等)に対応する充電器を開発中。

省電力充電器の重要性

リチウムバッテリーの場合、充電器の電力が大きくなってしまいます。ある程度大きな電流で短時間に充電できる事がリチウムバッテリーのメリットでもありますが、現在の日本の電気事情では高出力充電器が問題となる場合があります。

日本の交流電源事情は100V、一般的なブレーカーは20Aとなっています。100V×20A=2000Wということですので、それ以上の電力が必要となればブレーカーが落ちてしまいます。

リチウムバッテリー充電器は高出力

24V、36Vの電圧ともなるリチウムバッテリーを充電する場合、充電電流値にもことなりますが、500W以上の電力が必要となります。ともすれば、4台充電器を同時に動かせばブレーカーが落ちてしまう事が想定できます。ブレーカーが落ちて全く充電ができないという事も多々あるようです。

100W充電器の開発

省電力すれば、充電に時間がかかるのがデメリットとなりますが、メリットもあります。充電器を冷ます冷却ファンが不要となり、防水にできます。今回の開発中の充電器はIP65を取得する予定です。充電電流値が小さくなりますので、「補充する充電器」という認識でご使用頂く事を想定しています。

多種多様のバッテリーの充電電圧に適合

リチウムバッテリーと言っても、マテリアルによっては充電電圧がことなります。その異なる充電電圧もLi-ion、Lifepo4に対応できるように充電電圧を設定します。また、鉛、AGM等のバッテリーの充電電圧にも対応できるように開発中です。