リチウムバッテリーの特徴と性質

リチウムイオン電池は正極と負極の間をイオンが移動する事によって電気を作り出します。理論的にはこの作用は永久的に続くと考えられますが、充放電サイクル数や放電深度の割合、温度上昇による負荷などでその寿命は短くなっていきます。

リチウム電池の弱点を深堀します
リチウム電池の弱点を深堀します

リチウム電池の種類と特性

LiFePO₄(リン酸鉄リチウム)

LiFePO₄(リン酸鉄リチウム)

弊社リチウムスターターバッテリーに採用

リチウム電池の中では、エネルギー密度が低く容積も体積もかさむ組電池となる。しかし、耐高負荷電流や耐久性に優れ、数多くの工業製品に使用されている。

LiNiCoMnO₂(ニッケル マンガン コバルト酸リチウム)

LiNiCoMnO₂(ニッケル マンガン コバルト酸リチウム)

弊社ディープサイクルバッテリーに採用

高出力で高容量の電池。ニッケル、マンガン、コバルト酸の3元素を組み合わせる事で、安全性を高めた電池。小型で高容量、高出力を必要とする器機に多く使用されている。

LiCoO₂(コバルト酸リチウム)

LiCoO₂(コバルト酸リチウム)

弊社では取り扱いは無いが、多く使われているリチウム電池

高容量で高出力だが、サイクル特性が若干短い。また、充放電レートも他の電池に比べ低いため、限られた電力供給となりうる。

電池の種類で若干の違いがありますが、ここで着目するのが、c-rateという値です。これはリチウム電池の充放電時に使用する値なのですが、バッテリー容量を1時間で放電・充電する値を1Cとしています。10Ahのバッテリーを10Aで放電または充電する事を1Cといいます。

リチウム電池の特性
「充放電電流の大きさとサイクル回数の関係」

表1  リチウム電池充放電Cレート別サイクル特性

この表はリチウム電池を1C、1.3C、2.0Cで充放電を繰り返しサイクル回数を測定した表です。使用する電池にもよりますが、多くの電池は最大で1Cの充放電を定義しています。この表でも、2Cで倍の負荷をかけた電池のサイクル特性は他の放電レートと比べても大きく落ち込みます。充電・放電時のレートは電池の長寿命には大変重要となります。

これは、組電池にした場合でも同じことが言えます。容量の小さいバッテリーで、高負荷の器機に接続した場合は、電池の消耗が早くなります。これは、リチウム電池のサイクル特性にも大きく関わり、寿命を速くしてしまいます。大きな電流値での充放電は電池のサイクル特性に影響を及ぼします。

リチウム電池の特性「放電・充電温度特性」

表1  温度と充放電の特性表

リチウムバッテリーは5℃〜45℃の間では急速充電は可能です。5℃未満では充電電流を低めに設定し、0℃以下では充電作業を行なわない方が得策です。氷点下以下でのリチウムバッテリーの充電は、化学反応を起こし、リチウム電池に悪影響を及ぼします。リチウムバッテリーの低温時は内部抵抗が高まり、充電時間も長くなります。

リチウムバッテリーだけでなく、バッテリーの充電と放電には温度が大きく作用します。40℃を超える高温時、氷点になる低温時のリチウムイオンバッテリーの充電は特に注意が必要です。また、高温時の放電もリチウム電池に悪影響を及ぼします。

リチウム電池の特性「過充電・過放電」

表1  電池の電圧レベル

リチウム電池は過充電電圧を超えると、電池が不安定になります。化学反応が起こり、不安定となり二酸化炭素を形成します。また、定格電圧以上の電圧でないと電池に充電が出来ません。例えば、エレキモーター用バッテリーのように専用充電器で充電して、モーターを動かし電気を使用するような使用方法では、通常過充電・過放電を心配する事はありません。

しかし、車やバイク、ボートのエンジンスターターとしてリチウムバッテリーを使用する場合は、車両側の発電機(オルタネーター)等の具合をチェックしなければ いけません。現在の車両に備わっているオルタネーターの充電電圧は、13.5V〜14.5V以内です。オルタネーターの具合で過充電になる、もしくは過放電状態になる可能性があります。

リチウムバッテリーの場合、過充電・過放電状態に達した場合はとても不安定になり、大変危険な状態となります。そこで、弊社はバッテリー内に過充電保護・過放電保護機能を備えております。

リチウム電池の特性「放電深度と電池の関係」

表1  放電深度とサイクル回収

リチウムバッテリーはどこまで使用して充電するか!バッテリーの使用割合でサイクル回数がかなり違ってきます。放電深度100%とはバッテリーに残量が残っていない状況です。この状況下での使用が続いた場合は、リチウムバッテリーのサイクル回数は大きく減少します。

例えば、エレキモーター等のバッテリーから電気を取り出すだけの器機の場合、放電深度の割合が高くなるのは必然です。よって、ある程度の大きいバッテリー容量が無いと使用サイクル回数は短くなってしまいます。 弊社はエレキモーターのみの使用場合は、最低75Ahという容量を設定しているのはこのようなことからです。

エレキモーターの使用時間が長く、放電深度が深く使用されることを想定される場合は、なるべく容量の大きいバッテリーを使用しないとバッテリーの寿命が早くなってしまいます。

リチウム電池の特性まとめ 「リチウムバッテリーを長く使用するには」

表1  放電深度とサイクル回収

弊社のバッテリーには、モーターサイクル用バッテリー、一部のレーシングバッテリーを除く、全てのバッテリーに過放電・過充電保護装置を備えています。また、エレキモーター等のバッテリーから電気を使用するのような器機に接続するバッテリーには、ある程度大きい容量のバッテリーを用意しています。これにより、充放電での使用電流値の負荷を想定しバッテリーを選択できる他、深い放電深度や高いC-rate使用にも対応できるバッテリーをラインナップしています。

このように、容量・放電深度・温度・電圧を考慮しバッテリーを選択する。また、ユーザーの使用状況等を踏まえて選択する事でリチウムバッテリーの快適な使用がより長く実現すると考えます。

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