リチウム電池を使用したディープサイクルバッテリー発売を開始し、7年経過しデータを蓄積してきた中で、リチウムバッテリー利点の一つでもある「長寿命」に対して、足かせとなる起因がある事を掴みました。主にエレキモーターに使用されてきた弊社のリチウムバッテリーですが、そのリチウムバッテリー電源供給元機器のコンディション、使用方法、モーターの種類の違いで、電力に大きな違いがある事が判明しました。
電力の違い
このエレキモーターは36Vモーターガイド ツア-109です。ハイバイパス付近の電力です。1230W程の電力です。
このエレキモーターは、ウルトレックス クエスト 36Vで使用時のハイバイパスの電力です。 2340Wという電力で、上記のエレキとは1000W以上の電力差が発生しています。
エレキモーター不具合による過大電力供給
弊社のSE24900をご使用のお客様から、バッテリーが途中で止まってしまうというお話を頂き、バッテリーを検査させて頂くという事案がありました。バッテリーを弊社の検査機で調べましたが、全く問題が無く、お客様にその旨をご説明、そこでお客様の友人が、全く同機種エレキをお持ちという事で、そのエレキに当該バッテリーを装着し使用してテストする事になりました。テストの結果は、止まらず問題無く使用出来たとの事で、エレキを検査する事になりました。
下の赤丸で示した設定値は、弊社SE24900バッテリーの最大放電電流値です。300Aとなっていますが、SE24900の定格電圧で電力を求めると、7770Wの電力となります。7770Wで放電電流値の安全装置が作動する事になり、上記のケースでエレキがストップした原因と思われます。ここで問題なのは、7770Wという電力です。前述のモーターガイドの約6倍の電力、ウルトレックスの約3倍の電力を気が付かないまま、消費しているという事です。
電池への負荷は図り知れない事に………..
前述したケースは時々起こっているようですが、バッテリーの安全装置が作動しないまでも、想定以上の電力で、ご使用を続けている方も多くいらっしゃるようです。また、昨今の夏場の猛暑でリチウム電池への負荷は増すばかりで、電池の劣化は大きく進むことになってしまいます。
リチウム電池の充放電サイクルと負荷についての関係性は、その電池の容量に2C(2倍)の負荷をかけて放電した場合は、充放電サイクル回数も大きく減少してしまいます。上記のエレキモーターの不具合の場合、3C以上の負荷をかけている事になり、電池の劣化は急速に進んでしまう事になってしまいます。
バッテリーのメンテナンスが電池の寿命に貢献!!
電池の劣化はどのように進むのでしょうか?それは、充放電サイクルが進む中、電池のブロック毎の電圧バランスが崩れてい行きます。これは、大きな負荷をかければかけるほど、早く大きく崩れます。そのバランスが崩れた組電池は、電圧が低いブロック電池が、電圧の高いブロックから負荷を受けて、また劣化が進んでいくという悪いサイクルが進んでしまいます。
メンテナンス付き長期保証制度を開始
今まで長々と電池の劣化と負荷の関係性等を説明してきましたが、だからと言ってリチウムバッテリーの長寿命をあきらめるわけには行きません。弊社では、どうしたら環境下によって左右されてしまう、リチウム電池の劣化具合を抑える事が出来るかを熟慮してまいりました。そこで提案させて頂くのが、このメンテナンス付き保証制度となります。5年保証となるこの制度は、年に1度(5年で5回)の頻度でお客様のバッテリーを弊社に預けて頂き、バッテリーのブロック電圧の調整をさせて頂きます。その調整を施す事により、バッテリーの長寿命に繋げる事を目途とします。
また、お客様のバッテリーを定期的にお預かりする事で、他の部材の劣化や不具合を発見できれば大事に至らないと考えております。