新バッテリー搭載される機能 無限並列接続仕様

リチウムバッテリー並列使用の危険性!!

リチウムバッテリーを並列にして使用するリスクについてお話しします。バッテリーを並列に使用する場合の危険性、安全に使用する場合のポイントについて説明します。

1,電圧の不均衡による影響

並列状態で充放電を行うと、それぞれのバッテリー電圧不均衡が発生します。この電圧不均衡が発生すると、電圧が高いバッテリーから低いバッテリーへと電流を流し、電圧を等しくしようと作用が発生します。この作用により、急速な電流が流れる事による熱が発生します。この熱により、バッテリー基板のBMSを過熱損傷を与えたり、電池への負荷で電池の性能を著しく低下させる可能性があります。

2,容量不均衡による影響

例えば、同じ電圧であっても異なる容量のバッテリーを並列して使用した場合にも、電圧不均衡と同じような影響が発生します。容量の小さい方のバッテリーは、容量の大きいバッテリーよりも、電圧降下するスピードが速く、そのような場合はバッテリー内セルの内部抵抗が早く高くなり、バッテリーのパフォーマンスを早期に落としてしまいます。

3,内部抵抗が不一致の影響

上記の電圧、容量の不均衡による影響を受け、内部抵抗の不均衡の電池を使用続けた場合、充電中や放電中による熱により、リチウム電池が過熱され、エネルギー放出を制御できなくなり、火災に繋がる可能性があります。

4,並列仕様で使用したバッテリーは、個別交換出来ない。交換は全交換

例えば2個のリチウムバッテリーを並列で使用し、1個のバッテリーが壊れた場合、壊れたバッテリー1個を交換してもダメです。2個とも交換しなければなりません。何故かと言うと、1個だけ新しいバッテリーにしても、上記のような、電圧、容量、内部抵抗が異なります。1個だけ交換しても直ぐにバッテリーが壊れてしまいます。

EVOTECバッテリーが考えるリチウムバッテリーの並列仕様

弊社では、リチウムバッテリーをボートで使用する場合、限られたバッテリーケース寸法を考慮した時、体積エネルギーの小さい「LiFePO4」では、満足のいく容量が確保できない事、リチウムバッテリーの並列使用の危険性から、「NMC」三元素電池を採用してきました。制限の有るケース寸法でも最大限の容量を確保でき、また、軽さもという大きなメリットあります。

また、一方でLiFePO4というマテリアルのメリットがここへ来て注目されています。それは「価格」です。LiFePO4という正極材のマテリアルは中国の技術で多くの電池が生産されています。中国の国策とも言える大量生産から電気自動車にも投入されてきたLiFePo4電池ですが、ここに来て需要の低迷やトランプ関税の影響で、大幅にLiFePO4電池の価格低下が顕著になってきました。

そこで、弊社でもLiFePO4を使用したディープサイクルバッテリーの開発に着手しました。しかし、体積エネルギーが小さい為のデメリット、容量小さくなる事、重量が重くなることは、ある程度妥協したとしても、並列使用の安全性を確保する事に注力し、より大きな電力使用を想定するディープサイクルバッテリーには並列仕様が必須と考えてきました。

安全な並列使用を可能にする無限並列仕様対応BMSの開発

無限並列仕様BMSとは

無限に並列接続を可能にする為には、前述した並列使用したバッテリーの影響を考慮し、その影響を排除しなければいけません。そこで、弊社で開発した無限並列仕様BMSには大きな特徴が2つあります。

1,並列を監視する「Para Scoop」

この監視機能は、例えば並列使用を続けてバッテリー電圧に高低差が発生し、バッテリー間で勝手に充電が開始された時、大きな電流値をBMSが察知し、5Aの電流値に制限します。この制限を3分間維持し、その後解除しますが、まだ大きな電流値が確認される場合は、さらに3分間の制限を維持し、電流値の制限を繰り返し、バッテリー間の電圧バランスを整えます。

2,個々のバッテリーブロック電圧を監視する「Volt Scoop」

正極材のマテリアルによって制御開始電圧は異なりますが、規定の電圧時にバッテリーブロック間の電圧高低差「50mv」を超えた時、強制的にブロック間電圧の調整を自動で行います。最大で2Aの電流値で調整します。

2つの機能がもたらすメリットは!?

この無限並列を可能にするBMSを装着すると次のようなメリットがあります。

1,異なる容量のバッテリー並列使用が可能となる。例えば、36V60Ah+36V40Ahの並列使用が可能となります。(電圧と正極材マテリアルは同一が前提)

2,新旧のバッテリーを混ぜて並列使用が出来る。(電圧と正極材マテリアルは同一が前提)

3,一部他メーカーバッテリーでも並列可能とするバッテリーがありますが、台数制限と並列バッテリーの組み合わせを期間を設けて交換する(川下と川上)注意事項が設けられています。そのような事は心配せずご使用頂けます。

今後のEVOTECディープサイクルバッテリーの方向性

弊社では、今まで通り「軽さと大容量」のメリットを享受できるNMCバッテリーと、並列仕様可能BMS搭載で、使用幅が広がる価格メリットのある新開発のLiFePo4バッテリーで展開してまいります。今後も新機能を搭載したEVOTECバッテリーを案内していきます。